「隅田川」は室町時代、観世元雅の作品といわれています。「梅若丸の母」作で、能の曲目の4番目物に入っています。
隅田川の向島に「木母寺」があり、現在も毎年、4月15日に、そこで「梅若忌」が行われているようです。数年前に向島に行く予定のところ、転んでしまい顔に青あざをつくってしまいました。鏡をみるたびに勇気がなく、とうとう、全日空をキャンセルし未だに実現していません。いつかは、幻の物語、舞台の地に立ってみたいと思います。
今回の作品は15号で作っています。春さきの生えている草の匂いが感じられるように何度も工夫しています。お面ですが、うつむき加減になってしまったので、悲しみの表情にしました。
完成するまで、かなりの時間を費やしていますが興味のある題材です。これからも、能場面などを作っていきたいと思っています。
次回の作品作りは、向島の夜桜です。明治時代の絵ですが、雰囲気がとてもいいですね。このページに載せるため、コツコツと楽しみます。
12歳の子供が人買にさらわれ気が狂ってしまう、哀れな母親の物語です。その息子を捜し、京都から隅田川にたどり着く場面から物語がはじまります。
「 人の親の心は闇にあらねども
子を思う道に
まどいぬるかな 」
向こう岸に行く渡し舟に乗せてもらった母親は、1年前に病死した我が子の「大念仏」が行われることを偶然にも知り、愕然とします。嘆きながらも気を取り直し、息子の供養にと念仏の群れに加わり、一心不乱に唱えているうちに、子供のかすかな声が聞こえ、姿が幻のように現れます。我が子の名前を呼び、すがろうとするのですが子供の影は消えてしまい追い求めているうちに、いつしか夜があけていきます。そこには人影もなく草が朝風に揺れる、物哀しい情景で物語は終わります。
あまりにも悲しい最後なので、この物語の場面を春に設定しているようです。
(参考著書:「能の物語」 白州正子著 1995年 講談社発行)
朝日新聞、5月11日の朝刊に掲載の写真を再現させていただきました。
(写真家:阿部稔哉氏) ありがとうございました。
和紙で「能」場面を再現 ここでは、能の物語を簡単に紹介します。

